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共有財産の相続、どう分ける?不動産(共有持分)の遺産分割方法とトラブル回避のポイント

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2025.11.27

目次

相続した共有不動産、そのままで大丈夫?「とりあえず共有」が招くトラブルと3つの解決策

 

親御さんから実家などの不動産を相続したものの、兄弟など複数の相続人で「共有財産」となってしまい、どう分ければよいか悩んでいませんか?

預貯金と違って不動産は簡単に分割できず、「とりあえず共有名義」にしてしまうケースは少なくありません。しかし、その状態を放置すると、将来「売りたい時に売れない」「次の相続で権利関係が複雑化する」といった深刻なトラブルに発展しがちです。

住宅模型を見てマイホームの間取りを検討する若い夫婦

この記事では、共有不動産の代表的な遺産分割方法(換価分割・代償分割・現物分割)から、放置するリスク、協議がまとまらない場合の法的手続き(調停・審判)、2024年から義務化された相続登記まで、相続トラブルを回避するためのポイントを網羅的にご紹介。

創業32年(1993年設立)を迎え、相続診断士や宅地建物取引士が在籍する「ハウスドゥ 出雲」が、専門家の視点から共有不動産の相続について詳しく解説します。

すでに「共有持分」の扱いに困っている方や、県外にお住まいで出雲市内のご実家の相続を控えている方も、円満解決のヒントとしてぜひご一読ください。

 

共有財産の相続、どう分ける?代表的な3つの遺産分割方法

 

共有財産、特に不動産は預貯金のように単純に割り切れないため、相続時の火種となりがちです。

ここでは、代表的な3つの遺産分割方法「換価分割」「代償分割」「現物分割」の特徴と、それぞれに適したケースを簡潔に解説します。

 

1. 換価分割:不動産を売却して現金で公平に分ける

 

換価分割(かんかぶんかつ)は、相続した不動産を売却して現金化し、その現金を相続分に応じて分配する方法です。

例えば、実家を売却して得た3,000万円を相続人3人で1,000万円ずつ分けることができます。最大のメリットは、物理的に分けにくい不動産を、1円単位で公平に分割できる点です。ただし、売却には譲渡所得税や仲介手数料がかかり、売却に時間がかかる点がデメリットです。

換価分割は、「相続人全員が不動産を必要としていない」「公平性を最優先したい」場合に適した方法です。

不動産相続のイメージ画像

2. 代償分割:相続人の一人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う

 

代償分割(だいしょうぶんかつ)は、相続人の一人が不動産を取得する代わりに、他の相続人に対して相続分に見合う現金(代償金)を支払う方法です。

例えば、実家(評価額3,000万円)を長男が相続し、次男(相続分1,500万円)に代償金1,500万円を支払うケースです。この方法なら、特定の相続人が事業や居住のために不動産を引き継ぐことができます。デメリットは、不動産を取得する相続人に十分な支払い能力(代償金)が必要なこと、そして不動産の評価額で揉める可能性があることです。

代償分割は、「不動産を残したい人」と「現金が欲しい人」の意向が一致した場合に有効です。

 

3. 現物分割:土地などを物理的に分筆(分割)する

 

現物分割(げんぶつぶんかつ)は、相続財産そのものを物理的に分割して、各相続人がそれぞれ取得する方法です。主に土地の相続で用いられます。

例えば、300平方メートルの土地を「分筆(ぶんぴつ)」し、3人の相続人が100平方メートルずつ取得します。メリットは、不動産を売却せずに各相続人が土地を直接取得できる点です。一方で、土地は分筆することで価値が下がる(例:小さすぎて家が建てられない)可能性があり、建物(家)は物理的に分割困難なため、この方法には適しません。

現物分割は、分筆しても利用価値が残る広い土地があり、かつ相続人全員が土地での取得を希望する場合に検討できます。

 

なぜ「共有財産」になる?相続で発生しやすいケースと放置リスク

 

相続財産、特に不動産がなぜ「共有財産」になってしまうのでしょうか。それは多くの場合、「とりあえず」の対応が原因です。

しかし、その「とりあえず」の共有状態を放置することは、将来的に「誰も売れない」「誰も使えない」といった深刻なトラブルを引き起こす火種となります。ここでは、共有状態が発生する典型的なケースと、放置した場合の重大なリスクを解説します。

家をリスクから守るイメージ画像

相続で不動産が「共有」になる典型的なケース

 

相続した不動産が共有状態になる最も典型的なケースは、「遺産分割協議がまとまらないまま、法定相続分で登記してしまう」ことです。

例えば、実家の相続で「誰が住むか」「売却するか」で相続人の意見が対立したとします。結論が出ないまま相続税の申告期限(10ヶ月)を迎えると、ひとまず法定相続分(例:母1/2、長男1/4、次男1/4)で相続登記を申請することがあります。 また、「相続人同士が疎遠で話し合いが難しい」「分割協議自体が面倒」といった理由で、明確な合意がないまま共有登記になるケースも少なくありません。

「とりあえず共有」は、問題を先送りにしているに過ぎません。その時点では公平に見えますが、次の世代にさらに大きな負担を残すことになりがちです。

 

【重要】共有不動産のまま放置する4つのデメリットとリスク

 

共有不動産を放置すると、資産の活用が著しく制限され、権利関係が複雑化し、最終的に「負動産」と化すリスクがあります。

具体的には、以下のようなデメリットが発生します。

(例)売却やリフォームに共有者全員の同意が必要

不動産全体を売却する(変更行為)には、共有者全員の同意が法律上必要です。一人でも反対すれば、他の全員が売りたくても売却できません。また、大規模なリフォーム(管理行為)も持分の過半数の同意が必要となり、「古くなったから修繕したい」と思っても、他の共有者の合意が得られなければ実行が難しくなります。

(例)自分の持分だけでは住宅ローンを借りにくい

「自分の持分(権利)だけ」を担保にして、金融機関から住宅ローンを借りることは非常に困難です。金融機関にとって、持分のみを差し押さえても換価(現金化)が難しく、担保として不十分だからです。これにより、資金調達の選択肢が狭まります。

リスクと書かれたブロック、不動産の模型、電卓

(例)相続が繰り返され、権利関係が複雑化する(ねずみ算式に増える共有者)

これが放置する最大のリスクです。共有者の一人が亡くなると、その持分がさらに次の相続人(配偶者や子供たち)に引き継がれます。 最初は兄弟3人の共有だった不動産が、次の世代、次の次の世代と相続を経るたびに、甥、姪、いとこ…と「ねずみ算式」に共有者が増えていきます。面識もない人が共有者に加わると、売却や管理の合意形成は絶望的になります。

(例)固定資産税の支払い義務

不動産を利用していなくても、固定資産税は毎年発生します。納税義務は共有者全員が連帯して負いますが、納税通知書は代表者一人に送付されるのが一般的です。もし代表者が支払いを滞納した場合、他の共有者に全額の支払い義務が生じます。

これらのリスクを避けるためにも、共有状態は問題が単純なうちに解消(売却や持分買取など)することが極めて重要です。

 

遺産分割の協議がまとまらない場合はどうなる?

 

相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で合意に至らない場合、家庭内の問題として放置していても解決しません。

むしろ、放置することで不動産が「塩漬け」状態になったり、次の相続が発生して権利関係がさらに複雑化したりするリスクが高まります。 協議が難航した場合は、法的な手続きに移行するのが現実的な解決策です。ここでは、その具体的なステップを解説します。

 

まずは家庭裁判所の「遺産分割調停」

 

当事者間での話し合いがこじれてしまった場合、まず家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てるのが一般的です。

調停は、裁判官や調停委員といった中立公正な第三者が間に入る「話し合いの場」です。裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、各相続人の事情や意見を聞き取り、法的な観点から助言やあっせんを行うことで、全員の合意による円満な解決(調停成立)を目指します。 当事者同士だと感情的になって進まない話し合いも、第三者が介入することで冷静に進められるケースは多いです。

調停の申し立ては、相続人の一人からでも可能です。遺産分割で「もう話し合いにならない」と感じたら、最初に検討すべき手続きです。

 

調停不成立の場合は「遺産分割審判」

 

調停での話し合いが平行線をたどり、合意の見込みがないと判断される(不成立)と、手続きは自動的に「遺産分割審判」に移行します。

審判は「話し合い」ではありません。裁判官(家事審判官)が、各相続人の主張や提出された資料(不動産の評価書など)、法律(法定相続分や寄与分など)を総合的に考慮し、遺産の分割方法を強制的に決定(審判)します。 例えば、「この不動産はAが取得し、代償金としてBに〇〇円支払え」あるいは「不動産を競売にかけ、売却代金を法定相続分で分けよ」といった具体的な命令が下されます。

審判は強制的な決定であるため、必ずしも自分の希望通りの結果になるとは限りません。この段階に進む前に、調停での譲歩を検討するのも一つの戦略です。

不動産の疑問を表すイメージ図

「共有物分割請求訴訟」という最終手段

 

遺産分割とは別に、すでに「共有」となっている不動産の共有状態を解消したい場合、「共有物分割請求訴訟」という方法があります。

これは遺産分割審判とは異なり、地方裁判所に起こす「訴訟(裁判)」です。例えば、遺産分割で「とりあえず共有」にした不動産を、後になって「やはり分けたい」と一人が主張した場合などに使われます。 この訴訟では、裁判所が「どのように分けるか」を判断します。原則は現物分割(土地の分筆など)ですが、それが難しい場合は、競売による換価分割(売却して現金で分ける)が命じられるケースも多いです。

これは共有関係を強制的に解消する最終手段です。遺産分割の段階で共有状態を作らないことが、将来この手続きを避ける最善の策と言えます。

 

相続トラブル回避のために知っておきたい必須知識

 

相続は「いつかやること」ではなく、準備不足が「争族」トラブルを招く原因となります。

特に「遺産分割」「相続税」「相続登記」の3つは、法律で定められたルールや期限があり、これを知らないと大きな不利益を被る可能性があります。 ここでは、トラブル回避のために最低限知っておきたい必須知識を解説します。

 

遺産分割協議が難航する典型的なパターン

 

遺産分割協議が難航する典型的なパターンは、「相続財産が不動産のみ」の場合や、「寄与分(介護の貢献など)」を主張する相続人がいる場合です。

預金と違い、不動産は物理的に分割が難しいため、「売却して現金化したい人」と「住み続けたい人」で意見が対立しがちです。 また、以下のような事情があると、法定相続分での分割に不公平感が生まれ、話し合いが停滞します。

・寄与分の主張:「自分だけが親の介護を一身に担った」

・特別受益の主張:「他の兄弟は生前に住宅資金の援助を受けている」

・感情的な対立:そもそも相続人同士が不仲である

協議が難航しそうな場合は、感情的な対立を避けるためにも、早めに弁護士などの専門家に相談し、法的な整理を行うことが賢明です。

辞書の上に住宅模型を置き、パソコンで調べ物をする人物のイメージ写真。

相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月)とペナルティ

 

相続税の申告と納税は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に、被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄する税務署に行う必要があります。

この期限は、遺産分割協議が長引いていても待ってはくれません。期限を過ぎると、「無申告加算税」や、納付が遅れた日数分の「延滞税」といったペナルティが課されます。(参考:国税庁) もし期限までに遺産分割がまとまらない場合でも、「未分割」の状態で法定相続分に基づき一度申告・納税し、協議確定後に修正申告(または更正の請求)を行う必要があります。

10ヶ月という期限は非常にタイトです。相続が発生したら、速やかに税理士などの専門家と相談し、財産評価と分割協議を進めることが、ペナルティ回避の鍵となります。

 

2024年4月から義務化!相続登記の手続きと注意点

2024年4月1日より、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記(名義変更)を申請することが法律で義務化されました。

これは、所有者不明土地問題を解消するための国の施策であり、2024年4月1日より前に発生した過去の相続(登記が未了のもの)も対象となります。(参考:法務局) 正当な理由(例:遺産分割協議が難航している等)がなく申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

遺産分割協議がまとまらず3年以内に登記できない場合でも、「相続人申告登記」という簡易的な手続きを行えば、ひとまず義務を履行したとみなされます。 相続登記は「任意」から「義務」に変わりました。不動産を相続したら、司法書士などの専門家に相談し、速やかに手続きを進めましょう。

 

すでに相続した「共有持分」の扱いに困ったら?

 

相続によって「共有持分」を取得したものの、他の共有者と意見が合わず、活用も売却もできずに固定資産税だけを払い続けている、というケースは少なくありません。

しかし、共有持分は「負動産」とは限りません。法律上、共有持分は独立した「財産権」であり、適切な手続きを踏めば、その権利を行使したり、手放したりすることが可能です。 ここでは、共有持分の扱いに困った場合の具体的な解決策を解説します。

 

自分の持分だけでも売却できるのか?

 

結論から言えば、自分の「共有持分」だけを売却することは、法的に可能です。この場合、他の共有者の同意や許可は一切必要ありません。

民法上、共有持分は個人の財産権として認められており、その「処分(売却など)」は所有者が自由に行えると定められています。これは不動産「全体」を売却する行為(=変更行為)とは区別されます。

ただし、一般の個人が「不動産の権利の一部だけ」を購入するケースは稀です。そのため、現実的な選択肢は、共有持分の取り扱いや即時買取に対応できる不動産会社へ売却することです。

このような会社は、買い取った持分を元に他の共有者と交渉(持分の買い取りや不動産全体の売却提案など)を行うノウハウを持っています。

売却価格は市場価格より下がる傾向にありますが、「共有関係のストレスから解放されたい」「早く現金化したい」という場合には、最も有効かつ迅速な解決策となります。

住宅の疑問が解決するイメージ画像。

他の共有者の同意が必要なケース・不要なケース(売却・賃貸・リフォーム等)

 

共有不動産で「何かをしたい」とき、必要な同意の範囲は法律(民法)で明確に決められています。

見出しにある「売却」「賃貸」「リフォーム」など、具体的な行為に必要な同意のレベルは以下の通りです。

・不動産「全体」の売却:共有者全員の同意が必要

・リフォーム(大規模な建て替えなど):共有者全員の同意が必要

・リフォーム(軽微なもの):持分の過半数の同意が必要

・賃貸(短期間):持分の過半数の同意が必要

なぜこのように分かれるのか、法律上の3つの分類(「変更行為」「管理行為」「保存行為」)に沿って詳しく解説します。

1. 変更行為(共有者全員の同意が必要)

不動産の根本的な形状を変えたり、法的に処分したりする行為です。共有者全員の利害に重大な影響を及ぼすため、全員の同意が必須です。

<具体例>

・不動産「全体」の売却

・建物の取り壊し・建て替え

・長期間の賃貸借契約の設定

2. 管理行為(持分の過半数の同意が必要)

不動産を利用したり、改良したりする行為です。共有者の「頭数」ではなく、「持分の割合」の過半数で実行できます。

<具体例>

・短期間の賃貸借契約

・リフォーム(※軽微な変更)

・外壁の防水工事

※2023年の民法改正により、形状や効用の著しい変化を伴わない「軽微な変更」も管理行為として扱われるようになりました。

3. 保存行為(単独で可能)

不動産の現状を維持するための行為です。各共有者が単独で実行できます。

<具体例>

・雨漏りの修理、壊れた窓ガラスの交換

・不法占拠者への明け渡し請求

「リフォームしたい」「売りたい」と思っても、まずは自分のやりたいことが3つのうちどれに該当するかを把握することが重要です。

 

まとめ:共有不動産の相続は「放置しない」決断と専門家のサポートが鍵

 

共有財産の相続、特に不動産は「とりあえず共有」のまま放置することが最も危険です。本記事で解説した通り、放置すれば権利関係が「ねずみ算式」に複雑化し、売却も活用もできない「負動産」と化すリスクがあります。

2024年4月からは相続登記も義務化され、相続の問題は先送りにできません。円満な解決のためには、相続が発生したらできるだけ早い段階で相続人全員が話し合い、「換価分割」「代償分割」「現物分割」の中から最適な方法を選ぶことが重要です。

しかし、いざ分割しようにも「不動産の評価額で揉める」「誰が代償金を支払うのか」「売却するにも、誰が手続きを進めるのか」など、当事者だけでの解決が難しい課題も多いでしょう。特にご実家が遠方にある場合は、なおさらです。

私たち「ハウスドゥ 出雲」は、1993年の創業以来32年にわたり、出雲エリアの不動産に携わってまいりました。社内には「相続診断士」や「宅地建物取引士」が在籍しており、相続に関するお悩みにも専門的な視点から対応が可能です。

不動産売買だけでなく、リフォームや即時買取までワンストップでご提案できるのが当社の強みです。「公平な査定に基づき売却(換価分割)したい」「県外に住んでいて出雲の実家の管理に困っている」といったお悩みも、ぜひ一度ご相談ください。

 

西日本ホーム株式会社 営業部長 兼 ハウスドゥ統括店長

德平 太一

宅地建物取引士、相続診断士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士

西日本ホーム株式会社の店長として、地域の不動産取引を多数成功に導いてまいりました。お客様のライフプランに寄り添い、最適な提案をすることを使命としております。専門知識を活かし、読者の皆様に役立つ情報をお届けいたします。

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